
早速ですが問題です、CO(一酸化炭素)はどっちに極性が偏るでしょうか??
電気陰性度と極性について学校の化学の授業で習った方は、「酸素原子に偏る」と答えるでしょう。
残念ながら違います。
今回は、電気陰性度・極性についてわからない人向けにそれらについて簡単に説明した後に
この謎の現象について説明していきたいと思います。
目次
電気陰性度・極性について
電気陰性度は、例えるならば原子間の電子を賭けた綱引きの強さです。
たとえば、
水素同士だとどうでしょうか?
同じ元素同士なので、電子を引っ張る強さは同じなので、この共有電子対は二つの原子間のちょうど真ん中に存在しやすいです。
では、HF(フッ化水素)ではどうでしょうか?
フッ素はめちゃめちゃ綱引きが強いので電子をフッ素の方に引き付けてしまします。。
この電子をひきつける強さを電気陰性度といいます。
電子は−eで表されるように、マイナスの電荷をもっているため共有電子対をひきつけたフッ素はわずかにマイナスの電荷を帯びます。
このことを極性といいます。
(δは「微小」っていう意味)
こんな感じで、電気陰性度により、極性が生じ、フッ素が負の電荷をもち、負の電荷を失った水素は正の電荷をもちます。
そもそも、どの原子が電気陰性度が大きいの??
周期表の右上に行けば行くほど大きくなります。(希ガスは例外)そのため、ハロゲンは基本的に電気陰性度が強く、フッ素が一番大きいです。
なぞの解明✨
電気陰性度の説明をみて、CO分子だと「酸素の方が電気陰性度が大きいから極性が生じて、酸素に負の電荷が生じる」と思ったひと。
ルールに従えばそうなのですが、実際は違います。
この説明をするのにあたって、必要になる知識は
- 共鳴構造
の知識だけで大丈夫です。
共鳴構造とは?
これらは、炭酸イオンの共鳴構造を表したものなのですが。
そもそも、この炭酸イオンの二重結合はどの酸素原子の間で作るのかはわかりません。
なので、上の絵のように3つの酸素原子をすべてで二重結合を形成することができます。
炭酸イオンはこの共鳴構造をすべて重ね合わせて3で割ったような構造を持ちます
⇒CO間結合は二重結合より弱く長く、単結合より強く短い結合となっています。
なぞの解説
一酸化炭素は上記に示した、三つの共鳴構造を持ちます。
共鳴構造は、原子周りのオクテット則(電子が8個)を満たすものが一番安定で寄与(共鳴構造を重ね合わせるときの割合のこと)が大きいので、三重結合を生成し炭素に負の電荷をもつものが一番寄与が大きい。
極性の偏りによって生じる電荷(Cにδ+・Oにδ-)も加味して考えると、
少しだけCに負の電荷が発生します。
これがCOの謎の原因でした。