目次
① 原子軌道
原子軌道に関する4種類の量子数は、
- 主量子数:n
- 方位量子数:l
- 磁気量子数:m
- スピン量子数:s
である。
主量子数
原子軌道によって決まる電子分布の原子核からの大まかな距離を示す指標でn自体は自然数を取り、1から順にk殻,l殻,m殻といった風に名前が付けられる。
各殻によって収容できる電子の数が異なり、\(2n^2\)個が最大収容電子数である。
方位量子数
電子の分布の大まかな形状を表す量子数である。
方位量子数は主量子数に依存していて、n-1で決まる。
l=0,1,2,3はそれぞれs,p,d,f軌道を表す。
磁気量子数
方位量子数lに依存して、外部から磁場をかけた時に、2l+1個の分離した状態を持つということを示す。
スピン量子数
電子は2方向に自転していて、角運動量はそれぞれ\(\frac{1}{2}\hbar \frac{-1}{2}\hbar\)である。この係数のことをスピン量子数という。
➁エネルギーバンド
金属
金属はフェルミ準位(電子の存在確率が1/2の準位)がエネルギーバンド中にある。そのため、価電子帯と伝導帯がつながっていて、特に何もしなくても価電子が伝導電子となり電流が流れる。

半導体
半導体はフェルミ順位が禁制帯に存在していて、金属のように電流が簡単に流れるわけではない。
価電子にバンドギャップを超えるエネルギーを与えて伝導帯へ励起させれば金属のように電気伝導性を持つようになる。

絶縁体
半導体と同様にフェルミ順位が禁制帯にあるが、違う点はバンドギャップが半導体より大幅に大きくバンドギャップを超えられないものである。
③ブラッグ反射
$$2dsinθ=nλ$$

図のように二つの格子面から反射されたX線が反射しあうには、経路差が波長の整数倍になっていればよいので、
$$2dsinθ=nλ$$
④プールべ図
今回は鉄のプールべ図について考えてみる。
そもそも、プールべ図とは
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%BB%E4%BD%8D-pH%E5%9B%B3
プールべ図は、水中で化学種が安定であるような電位とpHの条件の範囲を示す図である。水平線は、電子移動のみに関連する化学種を分け、垂直線はプロトン移動のみに関連する化学種を分け、傾斜した直線は電子とプロトン移動の両方に関連する化学種を分けている。
アトキンス無機化学 第6版
考える化学種は
- Fe
- \(Fe^{2+}\)
- \(Fe^{3+}\)
- Fe(OH)_2
- Fe(OH)_3
$$Fe^{3+}(aq)+e^-→Fe^{2+}(aq)$$
この還元半反応は、プロトンのやり取りがないことからpHには全く依存しないことが分かる。よって、水平線になることが分かる。今回、考える化学種のなかでは最も正の電位をもつものであると考えらるので、左上に、\(Fe^{3+}とFe^{2+}\)を分ける水平線として書ける。
$$Fe^{3+}(aq)+3H_2O(l)→Fe(OH)_3(s)+3H^+$$
この反応は、どの化学種も酸化数の変化がないので電位は関係せず、プロトンのやり取りのみとなるので垂直な線になる。
$$Fe(OH)_3(s)+3H^+(aq)+e^-→Fe^{2+}(aq)+3H_2O(l)$$
この反応は、プロトン、電子いずれも反応に関与しているので傾きのある直線になる。
$$Fe(OH)_2+2H^+ → Fe^{2+}+2H_2O $$
この反応は、酸化数の入れ替わりがないので、プロトンのみが反応に関与するので垂直線になる。
$$Fe(OH)_2+H_2O→Fe(OH)_3+H^++e^-$$
この反応は、プロトン、電子のやり取りのある反応なので傾きのある直線になる。

⑤Ellingham図
エリンガム図は、$$\Delta _rG^0=\Delta _rH^0-T\Delta_r S^0$$の関係式が大変重要となっている。標準反応エンタルピーと標準反応エントロピーはほとんど温度に依存しないと近似できるので、エリンガム図の傾きは\(\Delta _r S^0\)である。
例えば、C/COは1/2molの酸素を使って1molの一酸化炭素が生成されるので乱雑性が増すので傾きは負になる。C/CO2は1molの酸素を使って、1molの二酸化炭素が生成されるので乱雑性は変わらず水平線になる。CO/CO2は3/2molの気体分子が1molの二酸化炭素になるので、乱雑性が減るので傾きは正になる。

この図から、ZnOが炭素によってZnへ還元される温度が分かる。
酸化亜鉛の還元反応は$$C_(s)+ZnO(s)→CO(g)+Zn(g)$$
であるから、ZnOの線とC/COの交点は1200℃付近であるから、最低温度は1200℃である。なぜ、C/CO線との交点なのかというと、一番温度が低い状態で還元が始まるからだ。
⑥動径分布関数

2s軌道と2p軌道は主量子数が同じなのに2s軌道の方が2p軌道よりもエネルギー順位が低いのは、2s軌道は2p軌道に比べて1s殻の内側まで貫入する可能性が高いので遮蔽効果を2s軌道は受けにくくより核へ引き付けられやすいため。
s軌道は、1s,2s,3s軌道となるにつれ波の節の数が0,1,2と増えていくので動径分布関数と半径の図では注意。
⑦ルイス構造
⑧結晶構造

ペロブスカイト構造の投影図は

Mサイトの配位数は12個で、Rサイトの配位数は6個である。
Mサイトの方が一般的に大きい。
⑨ボルンハーバーサイクル
KClの格子エンタルピーを求める。
以下にエンタルピー変化\(\Delta H\)を示す
- K(s)の昇華→89
- K(g)のイオン化→425
- \(Cl_2(g)\)の解離→244
- Cl(g)への電子の負荷→-355
- KCl(s)の生成→-438
⑩ポーリングの規則
- \(O_pE(OH)_q\)で表せるオキソ酸はpKa~8-5p
- 多塩基酸(q>1の酸)の\(pK_a\)値は、プロトン解離が一回起こるごとに5ずつ増加する。
例えば、\(H_3PO_4,H_2PO4^-,H_PO42-\)について考えると
リン酸は\(OP(OH)_3\)で表せるのでp=1より、pKaは3である。次に、プロトンが減っていけば8,13という風になる。
⑪結晶場理論

結晶場理論については、この動画見た方がいいhttps://youtu.be/ZEtPysIzfQg
見た後はモヤモヤがすっきりした。
自分なりに説明していく。結晶場理論を考える際はほとんどがd軌道について考える時だ。
まず、8配位について考える時は配位子は各軸方向から近づいてくるのでd軌道の上の段は、軸方向に軌道が展開しているため、配位子が近づきにくい。よって、エネルギー順位が高い。

よって、上の図のような準位になる。高い順位の方が\(e_g縮退軌道\)で、低い順位が\(t_{2g}縮退軌道\)である。
\(e_g縮退軌道\)と\(t_{2g}縮退軌道\)の差が配位子場分裂パラメータ\(\Delta _o\)といわれる。※oは八面体結晶場をあらわすのかな
さらに\(e_g\)は\(+\frac{3}{5}\Delta _o\)のエネルギーを持っていて、 \(t_{2g}\)は\(-\frac{2}{5}\Delta _o\)のエネルギーを持っている。
そのため、\((t_{2g})の軌道にx個の電子が、(e_g)軌道にy個の電子がある場合\)配位子安定化エネルギー(全てのエネルギーの和)は
$$=-\frac{2}{5}\Delta _ox+\frac{3}{5}\Delta _oy$$と表せる。
次に、新しく考えないといけないのが電子反発を避けてエネルギーの高い順位の軌道へ電子を置くか、電子反発を受け入れてでも低エネルギー順位に電子を置くかどうかである。
この時に条件として使うのが、スピン対生成エネルギーPである。
例えば、電子の反発を避けて\(t_{2g}\)へ3つ、\(e_{g}\)へ一つの場合は、全エネルギーは\(\frac{-3}{5}\Delta _o\)である。 電子の反発を受け入れると、\(t_{2g}\)へ4つの電子があるので、全エネルギーは$$\frac{-8}{5}\Delta _o+P$$である。
この二つのエネルギーを比べて、前者が大きいのならば弱配位子場性で後者が大きいのなら強配位子場性である。
ヤーンテラー効果は、格子が歪んで安定化する。
例外として、4配位の場合、格子の近づき方が軸方向ではなくなるため、反発が変わる。\(t_{2g}\)がより反発するようになってしまい。他のものとエネルギー順位が逆になる。