「化学工学」 問題

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流通式反応器

$$A+\frac{1}{2}B→C$$

流通式反応器には反応成分AとBと共に、反応に関与しない不活性成分Dを22.5℃で供給した。成分A,B,Dのモル流量をそれぞれ10.0mol/h, 20.0mol/h, 80.0mol/hとしたところ、反応器出口では、供給成分Aの80%が反応した状態(転化率80%)で成分Cが定常定期に得られた。この定常状態での反応器出口温度は275℃であった。ただし、温度225~275℃における成分A,B,C,Dの平均定圧モル熱容量をそれぞれ\(C_{p,A},C_{p,B},C_{p,C},C_{p,D}\)で表し、各成分の標準生成エンタルピー(25℃,\(10^5Pa\))をそれぞれ\(\Delta H^0_{f,A},\Delta H^0_{f,B},\Delta H^0_{f,C},\Delta H^0_{f,D}\)と表すものとする。

(1)反応器出口における成分A,B,C,Dの各モル流量を記せ。

Aの転化率が80%であることを考慮して、反応後は

成分Aは10-8=2.0mol/h

成分Bは20.0-4=16.0mol/h

成分Cは8.0mol/h

成分Dは80.0mol/h

(2)成分C基準の標準反応熱\(\Delta H^0_R\)を文字式で表す。

$$ \Delta H^0_R =\Delta H^0_{f,C}-\Delta H^0_{f,A}-\frac{1}{2}\Delta H^0_{f,B}$$

(3)単位時間あたりに反応器に流入するエンタルピー(\(H_{in}\)を、文字式を用いて表す。

$$H_{in}=498(10.0\times C_{p,A}+20.0\times C_{p,B}+80.0\times C_{p,D} )$$

(4)単位時間あたりに反応器から流出するエンタルピー\(H_{out}\)を文字式を用いて表す。

$$H_{out}=548(2.0\times C_{p,A}+16.0\times C_{p,B}+8.0\times C_{p,C}+80.0\times C_{p,D})+\Delta H^0_R$$

(5)反応器の入り口温度を出口温度をそれぞれ等温に保つには単位時間当たりどのくらいの熱が必要か?

(3)と(4)で求めたエンタルピーが等しくなればいいので,流入の際にXだけ熱を加えるとすると、

$$498(10.0\times C_{p,A}+20.0\times C_{p,B}+80.0\times C_{p,D} )+x$$

$$=548(2.0\times C_{p,A}+16.0\times C_{p,B}+8.0\times C_{p,C}+80.0\times C_{p,D})+\Delta H^0_R$$

X=91.9kJ/hだけ熱を加えればよい。

次元解析

円管内の流れにおいて、熱伝達係数h[\(θ^{-1}*M*T^{-3}\)]に影響を及ぼす因子として、管内系d[\(L\)]、流体の密度ρ[\(L^{-3}*M\)]、粘度μ[\(M*L^{-1}*T^{-1}\)]、熱伝達率λ[\(M*L*T^{-3}*θ^{-1}\)]、定圧熱容量\(C_p[L^{2}*T^{-2}*θ^{-1}]、\) 平均流速u\([L*T^{-1}]\)の6つの因子を考える。次元解析を行い、6つの因子と熱伝達係数の関係を明らかにしたい。

$$h=α*d^{b_1}*ρ^{b_2}*μ^{b_3}*λ^{b_4}*C_p^{b_5}*u^{b_6}  ①$$

物理的に正しい式であるためには、①の両辺の次元が等しくならなければならない。基本的物理量として質量M、長さL、時間T、温度θの各次元に着目すると、SI基本単位系の基本量に関する次の4つの連立方程式が得られる。

$$M(kg) 1=b_2+b_3+b_4 ➁$$

$$L(m) 0=b_1-3b_2-b_3+b_4+2b_5+b_6 ③$$

$$T(s) -3=-b_3-3b_4-2b_5-b_6 ④$$

$$θ(K) -1=-b_4-b_5 ⑤$$

これら4つの連立方程式には6つの因子が未知数として含まれるので、①式は特定の2つの指数を使って表すことができる。\(b_2,b_3\)に着目した場合は次の⑥式で表すことができる。

$$h=αd^{b_2-1}ρ^{b_2}μ^{-b_2+b_5}λ^{1-b_5}C_p^{b_5}u^{b_2} ⑥$$

ここで、バッキンガムのπ定理に基づくと、次元解析によって得られる無次元数を予測することができる。そこで、⑥式を書き換えることで⑦式が得られる。

$$(\frac{hd}{λ})=α(\frac{dρu}{μ})^{b_2}(\frac{μC_P}{λ})^{b_5} ⑦$$

これらの無次元数は、左から「ヌッセルト数」「レイノルズ数」「プラントル数」である。

無次元数の数はバッキンガムのπ定理から求めることができる。

基本量の数:n、無次元項の数:p、変数の数:nから、p=n-mで求められる。

今回は変数の数が6つで、基本料の数は[L,M,T,θ]であるから、p=6-4=2より無次元数の数が2で正しい。

理論空気量

理論的な必要な最小限の空気の量のことを指す。

メタン75%、エタン14%、プロパン8.0%、ブタン2.0%、窒素1.0%の体積組成の天然ガスの理論空気量は

$$理論空気量=(\frac{0.75}{15}\times 2+\frac{0.14}{30}\times 4+\frac{0.08}{44}\times 5+\frac{0.02}{58}$$

$$\times 6.5+\frac{0.01}{28}\times 0.5)[L*mol*g^{-1}]\times 22.4[L/mol]*(\frac{100}{21})$$

$$=13.9 m^3/kg$$

空気比

炭素83.0%、水素16.0%、硫黄1.0%の質量組成の重油を空気で完全燃焼させた。排気ガスを測定したところ、\(SO_2\)濃度が490ppmを示した。重油中の硫黄はすべて\(SO_2\)になるものとして、この燃焼条件での空気比はいくらか。

ppmは100万分の1→\(10^6\)

空気比とは実際の空気量Aと理論空気量\(A_0\)とすると空気は$$m=\frac{A}{A_0}$$

$$理論空気量=(\frac{0.83}{12}+\frac{0.16}{2}\times 0.5+\frac{0.01}{32})22.4\frac{100}{21}=11.7 [m^3/kg]$$

空気比をmとすると実際にある空気量はmAで表せる。

反応後の空気量は$$11.7m- (\frac{0.83}{12}+\frac{0.16}{2}\times 0.5+\frac{0.01}{32})22.4 $$

$$=11.7m-2.45$$

よって今回の反応後のガスを乾燥ガスとすると

$$\frac{0.007}{11.7m-2.45+1.55+0.007}=1.30$$

ベルヌーイの式

非圧縮性流体におけるベルヌーイの式は、次式で表せる。

$$\frac{1}{2}ρv_1^2+ρgh_1+P_1=\frac{1}{2}ρv_2^2+ρgh_2+P_2 ①$$

ここでρは流体の密度、uは流体の速度、gは重力加速度の大きさ、hは流路の断面の高さ、Pは断面における圧力であり、添え字1及び2は流体のエネルギー収支をとる断面を意味する。

ベルヌーイの式は流体力学において重要な役割を果たす。その一つは、図1のU字管マノメーターがある。測定すべき流体とは密度の異なる流体(密度\(ρ_m\))をU字型の管にいれ、その液柱の高さの差\(\Delta h\)を測定することで、U字管の両端に加わる圧力の差を知ることができる。図1の管の両端に加わる圧力を\(P_1及びP_2\)とすると、圧力差を表す式は、①式を用いると$$\Delta P=P_1-P_2=ρg\Delta h$$となる。

もう一つのベルヌーイの式の利用例として図2に示すピトー管がある。密度ρ、速度uの一様な流れの中に物体が静止していると、流れは物体の正面中央の1点(ピトー管の先端)で完全にせき止められる。その部分での圧力をよどみ点圧力あるいは静圧という。その一方で、ピトー管の側面に孔を開けておくと、ピトー管のおかれている位置の全圧を測定できる。静圧と全圧の差は動圧と呼ばれ、ベルヌーイの式を高さの変化しない一様な流れの流線に沿った無限遠離れた上流点(密度ρ、速度u)とよどみ点の2点に適用すると、動圧を表す式は側面での流線と先端での流線との間でベルヌーイの式が成り立つとして、

$$\frac{1}{2}ρ0^2+ρgh+P_1+\frac{1}{2}ρu^2+ρgh+P_2$$

$$動圧=\frac{1}{2}ρu^2$$

図1の管の両端を図2の両端にチューブなど接続すれば圧力差\(\Delta h\)を測定することで、先端部における流体の速度を$$u=√2gh$$と知ることができる。

ピトー管を飛行機の主翼の前緑などの、流れが機体の形状の影響を受けにくい位置に搭載すれば、おおまかな全圧から、気体の大気と相対速度を動圧から知ることができる。

レイノルズ数

レイノルズの実験によれば、円管の内径および管断面平均流速を基準にとったレイノルズ数が、およそ2300以下では流れは層状で流れるが、レイノルズ数がそれ以上大きくなると乱れはじめ、下流に流れるに従って流れは拡散し、やがて管全体に広がる。前者は流体中のせん断応力の運動によって各層の運動量の交換が行われる層流、後者は渦の運動によって、運動量の交換が行われる乱流であり、円管内の速度分布は大きく異なる。レイノルズ数は、管断面平均流速をu、管の内径をD、流体の密度をρ、流体の粘度をμとすると

$$Re=\frac{Dρu}{μ} ①$$

で表せる。

例えば、円管(内径10.0cm)内を20.0℃の空気(組成が窒素79.0vol%、酸素21.0vol%の理想気体とする)が大気圧で毎分300l流れる場合のレイノルズ数は

円管内を層流で流れる流体に対して、微小要素に作用する力のつり合いを考えて式を立てて解くと、管長Lの管内の流動の圧力損失は次式になる。

$$\Delta P=\frac{32μLu}{D^2}$$

この式は、ハーゲンポアズイユの式を呼ばれる。この式を使えば、層流で流れる場合の圧力損失を求めることができる。

円管は層流・乱流を問わず、流体輸送に多用されるが、その際の圧力損失を求める場合、次式に表すファニングの式がよく用いられる。

$$\Delta P=4f(\frac{L}{D})(\frac{ρu^2}{2}) ③$$

ここでのfはファニングの摩擦係数と呼ばれる。式(2)と式(3)と比較すると、層流ではfはレイノルズ数の関数となり、レイノルズ数を用いて表すと、

$$f=\frac{16}{Re} ④$$

の関数が成り立つ。一方、乱流においては、円管内壁面のなめらかさによってfが変化することが知られていて、乱流における平滑管内流動では、Re<\(10^5\)の範囲でブラジウスの式

$$f=0.0791Re^{-\frac{1}{4}} ⑤$$

がfの算出に用いられる。流動の様式に応じて式(4)あるいは式(5)によりfを求め、式(3)を計算すれば、平滑管内の圧力損失を求めることができる。

完全混合槽型反応器と管型反応器

(1)完全混合型反応器を用いて、式(1)の反応を原料供給速度0.250\([m^3/s]\)で行ったところ、A成分の反応率0.475を得た。このデータから反応速度定数\(k_A\)を求めよ。

(2)式に代入して、$$k_A=\frac{0.475*0.250}{10.0*(1-0.475)}=2.26*10^{-2}$$

(2)管型反応器を用いて、式(1)の反応を設問(1)と同じ原料供給速度と温度で行う。A成分の反応率を求めよ。

(3)式に代入して、$$1-x_A=exp(-\frac{k_A*V}{v_{T0}})$$

$$x_A=1-exp(\frac{-2.26*10^{-2}*10.0}{0.250})=0.595$$

(3)完全混合槽型反応器の出口に管型反応器を直列につなげて、式(1)の反応を設問(1)と同じ原料供給速度を温度で行う。総括反応率を求めよ。

最初の濃度を\(C_{A0}\)とすると、完全混合槽型反応器を通過した後の濃度を\(C_A1\)とする。

\(C_A1=C_{A0}(1-x_{A1})\)と表せる。次に、管型反応器を通過した後の濃度を\(C_{A2}\)とする。

\(C_{A1}とC_{A2}\)の関係は$$C_{A2}=C_{A1}(1-x_{A2})$$となる。

よって総括反応率は$$\frac{C_{A2}-C_{A0}}{C_{A0}}=\frac{C_{A0}-(1-x_{A1})(1-x_{A2})C_{A0}}{C_{A0}}$$

$$=1-1+x_{A1}+x_{A2}-x_{A1}x_{A2}=0.595+0.475-(0.595*0.475)=0.787$$

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